近年、大雨による災害や、電力不足による計画停電など、昔に比べて災害・停電のリスクが増しているように感じます。
地震や台風で停電し、復旧までに時間がかかってしまった場合、冷蔵庫の中身がダメになってしまいます。そんな時、ポータブル電源で冷蔵庫を動かして冷蔵庫内の食品を守ることはできなかいでしょうか?
ポータブル電源で冷蔵庫が動かせるか?また、何時間動かせるのか?
実際に実験をしてみることにしました。
実験に使うポータブル電源
ポータブル電源はEcoflow社のRiver Proを使用します。
容量720Wh、定格出力600Wと少し小型のポータブル電源ですが、片手で持ち運べるので普段はキャンプや車中泊、イベント会場でのPC、カメラの充電に使用しています。
実験に使う冷蔵庫「日立 R-SL470CM (470L)」
実験に使用するのは我が家の冷蔵庫です。日立製のR-SL470CMという470Lサイズの冷蔵庫です。
一般的なマンション等におけるファミリーサイズの冷蔵庫です。
この冷蔵庫は2013年製で10年ほど前のモデルなので、2022年現在販売しているモデルで言うと下記のモデルと同クラスの冷蔵庫になります。
ポータブル電源で冷蔵庫を動かす
電源コードのつなぎ変え
冷蔵庫の電源は、普段はすぐ横の壁のコンセントからとっています。
これを引っこ抜きます。(ついでにほこりがたまっていたので掃除ます。)
冷蔵庫のコンセントコードはあまり長くなかったので、ポータブル電源を椅子の上に置いてコードに近寄せました。
ポータブル電源のAC電源ポートに接続します。
ポータブル電源の電源を入れた後に、AC ON/OFFスイッチを押して100V出力をONにしました。
実験の条件
実験実の室温は26.5℃でした。春秋の標準的な気温だと思います。
ちなみに実験開始時刻は午後1:18です。
実験開始時のポータブル電源のバッテリー残量は100%です。
使用するのは Ecoflow社のRiver Pro なので、満タン容量は720Whです。
AC電源をONにして観察を開始
電源投入開始直後は7W程度の消費電力でした。
え?こんなに消費電力が少ないの?と思いましたが、しばらくすると消費電力は62Wまで増えました。
コンプレッサーが動き出したようです。
消費電力は時間とともに上がったり下がったりとと変動しました。
一番大きいときで114Wまで上がりました。
今回実験に使った冷蔵庫「日立 R-SL470CM」の消費電力は下記です。
- 電動機(コンプレッサー)の定格消費電力 83W
- 電熱装置の定格消費電力 146W
消費電力が7W程度の時は、おそらく、電動機も熱電装置も動いてなかったのでしょう。
60W程度の時はコンプレッサーが、114Wの時は熱電装置が動いていたのだと考えられます。
冷蔵庫の消費電力は変動しますが、最大でも114W程度だったので、ポータブル電源で動かすこと自体は最大出力上は問題なさそうです。
ポータブル電源の電気残量が0%になり実験終了
午後7:25にポータブル電源の電気残量が0%になりました。実験開始時刻は午後1:18だったので、ポータブル電源で約6時間(6時間7分間)冷蔵庫を動かすことができました。
思っていたよりも時間短い!!
River Proの容量が720Whなので、単純計算をすると平均消費電力は120Wです。
実験中にポータブル電源の表示を確認したときは114Wが最大だったので、想定よりも平均消費電力が大きいです。想定よりも消費電力が多かった理由としては下記が考えられます。
- 局所的に消費電力が大きくなるタイミングを見逃した
- 実験後半に夕食準備で冷蔵庫の扉を頻繁に開けた
- ポータブル電源のバッテリーがへたっている
この中で特に原因だと考えられるのが「冷蔵庫の扉を頻繁に開けた」です。
頻繁に開けた場合、消費電力量が冷蔵庫の扉を開けずにいた場合の数倍にもなるといわれています。
実験開始時は昼だったので誰もあまり扉を開けませんでした。実験後半では夕方になり、夕食準備で頻繁に扉を開けたので消費電力量が急に増したのかもしれません。
冷蔵のスペックから計算すると何時間?
冷蔵庫の公称スペック上の平均消費電力を考えた場合は、ポータブル電源で何時間動かすことができるのでしょうか?
スペック表には「消費電力量 190kWh/年」と書かれています。これを時間当たりの消費電力に換算します。
190kWh / 365日 / 24時間 = 21.7W
今回の実験では平均消費電力は120Wでした。スペック上の21.7Wとあまりに違います。これはなぜでしょうか?これには2つの理由があると思います。
1つ目は、計算の規格が古い。この消費電力量は「JIS C 9801-2006年」という2006年にできた規格にしたがって算出された値です。しかし、この規格で計算した消費電力量は実際よりも少なめに出るとされており、2015年により実態に即して規格が変更になっています。一概には言えませんンが、ざっくり言うと新しい規格では消費電力量が1.5倍程度になるようです。
2つ目は、扉の開閉頻度です。実験時は一日のうちで最も扉の開閉を行う夕食時が含まれていました。そのため、平均消費電力は高めに出たのでしょうあ。逆に夜間や日中には誰も冷蔵庫の扉を開けませんので、平均消費電力はより低くなるはずです。1日全部を平均すると120Wよりは低い値になると考えられます。
まとめ
今回の実験では720Whのポータブル電源で、ファミリーサイズの冷蔵庫を6時間動かすことができました。
実験では夕食準備時に扉の開閉を何度も行いましたが、扉の開閉を全くしなければより長い時間冷蔵庫を動かすことができるかもしれません。(これについては今度改めて実験してみたいと思います。)
冷蔵庫は電源が切れてからも扉を開けなければ3時程度冷気を維持できると言われています。
停電になった際は、すぐにポータブル電源を接続し、また冷蔵庫の扉を開けないようにすれば半日くらいは中の物を腐らせずに維持することができると思われます。
結論:720Wh程度のポータブル電源があれば停電時に12時間程度食材を守ることができる
12時間は十分長いと感じるでしょうか?それとも短いと感じるでしょうか?
私は思っていたよりも短いなと感じました。大きな災害では停電が数日に及ぶこともありますが、その時は食材をあきらめるしかなさそうです。ただ、数時間程度の停電の時には食材を守ることができます。
もしすでに家にポータブル電源があるのであれば、充電しておいて、停電時に冷蔵庫に接続して冷気を延命するのもいいかもしれません。
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